Memories 8-4/4 今頃、あの度胸と根性のあった義英は、何をしているのだろう。



Memories 8-4/4 今頃、あの度胸と根性のあった義英は、何をしているのだろう。

Memories 8



思い出(8)-4/4

局番プラス夜行くで、4619の電話番号でちょいちょい夜行っておしゃべりした国場丈子は、””ヨルイクはやめて、シロイクにして”、と白い雲がロマンチックと思ったみたいだけど、僕はいつも9時頃行ったので、ヨルイクの方がピッタリと思った。

丈子もクラス替え、貴美恵も静代も美代ちゃんも、岸本和江も全部変わった。

二年生で新しく印象に残るのは、仲村幸子ぐらいで、ある日、”お前の名前はサチコかユキコか、どっちだ”、と聞くと、”ユキコだけど、みんな間違えるの”、と困った顔をしていた。



そして、”誠、中学の時からウチの学校でもコザ中に優秀な生徒がいるって誠は有名だったよ、だから一年の時から誠のことを見ていたの”、と言うではないか。

流行の歌のように、”ビックリ仰天、ウチョウ天”、とまではならないが、中々の美人だし、勉強もできる子だったので、意識して息勇にチョイチョイ幸子の話をしたいた。



名前は忘れたが、泡瀬の美東中学出身、つまり幸子と同じ中学出身の背はそう高くもないが、ガッチリした男が、ちょっとマセた子だった。

ある日話していると、”誠、ちょっと見るか?”、と言うので、”何だ?”、と言うと、カバンの底に刃をくるんだ包丁があるので、”何だ”、と言うと、”いやな奴らにからまれたら、これを出しておどすんだ”、と言うんで、”ふーん、これなら大丈夫だな”、と言うと、”間違いないよ、一発さ”、と答える。

僕は何も用意はしていなかったが、死ぬ気で逆おどしをかける主義だったので、世の中はやっぱり広い、似たような奴もいるから用心しようと思った。



そいつは大人ぶったところもあり、普天間高校に彼女がいるが、バレないようにもう一人いると言っていた。

二人から時々小遣いをもらうんだ、などと嘘ぶいていたが、その点は僕とは大違いで、その点だけは馬鹿な奴だとガッカリした。

本当かどうかは確認もしないので、嘘かも知れないし、嘘ぶいての強がりであって欲しい。

でも世の中つまらん種族は掃いて捨てる程うじゃうじゃいるし、泡瀬はやくざの本場だったから、本当だったかも知れない。



高江洲義英も泡瀬出身で、彼の度胸と根性は本物だった。

ある日泡瀬の家の付近の道路わけで、友達二人でダベッていると、通りがかったアシバー(遊び人・チンピラ)数人に、”おい高校生、こんな所で遊んでいるんじゃないぞ”、と勿論方言でからまれた。

すると義英は、はいていた男物のゲタで、その男の顔をなぐり、他の奴らにも殴りかかり、”殺すぞ、この野郎”、と無茶苦茶興奮して殴り廻るので、彼らは全員逃げて行った。

これは一緒にいた奴から聞いたが、多分本当だろう。

ちなみに、義英の兄はやくざ泡瀬派の今で言う若頭で、義英は一緒に住んでおり、家にはカービン銃やライフル、拳銃にダイナマイトと武器が隠してあったらしい。

これらはいつも一緒に居たと言う友達から聞いた話だが、その頃はやくざの組ごとの闘争が激しかったので、多分本当だと思う。



僕は昔からやくざ大嫌いな人間が、やっかいな不思議なことに、やくざとは縁もあり変につきあいまで多い。

でも嫌いなことに変わりはない。



落とし込んで奪うか、はい上がれと助けるか、どっちを選ぶかと言うと、彼らは得する方、奪う、を選ぶ。

今そう言う人が本当に増えている。

兎に角、みんな得することばかり考えているが、果たしてそれでいいのだろうか。

今頃、あの度胸と根性のあった義英は、何をしているのだろう。



こうして二年生は特に何事もなく終わり、三年となった。



※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。