アカンバ・まーちゃん(余談12)


アカンバ・まーちゃん(余談12)



アカンバ・まーちゃん(余談12)



小学校に入学する前の4歳後半から7歳前半までの3年余りは、冬ですら晴れて陽が照っている日は毎日パイナガマで遊んでいた。

今考えれば下里通りからパイナガマまでは、子供の足だとかなりの距離だが、その遠征の間も水産高校や農林高校の生徒達とすれ違ったり、景色を眺めたり、バッタが飛び跳ねたり、トンボが飛び、蝶が舞うのを眺めたり、もう全ての移りゆく様子が楽しくて楽しくてしょうがなかったのだ。



そしてパイナガマに隣接したヤラブの森を過ぎ、砂の山を過ぎて、眼科にワッと広がった白い砂浜と、青とコバルトブルーの澄んだ海と、遠くに見える佐良浜、伊良部島と、池間島と、狩俣、発電所のエントツなど、もう全てが美しく今も心に深く刻まれ残っているのだ。

パイナガマそのものがものすごく美しくて、浜昼顔が咲き乱れていて蝶が舞い、今思えばヤラブの森に囲まれた俺たちの天国だった。



しかし、そこは4歳後半から、ずっと俺たち以外の人間に出会った事はたった一度、小学2年か3年の頃、ピサガ(全裸)で海でバチャバチャ水をかけあったりして遊んでいた時に、同級生の女の子がお姉ちゃんと2人で散歩に来て、俺に、”まーちゃん”、と声をかけて、その後もずっと姉さんと浜に腰掛けておしゃべりしているので、俺達もその子達が帰るまではピサガで海から出る事が出来ず困ったもんだ。

流石に小学生ともなると、ピサガでは女の子の前ではチンチンは見られたくないし、とても困ったもんだ。



女の子達が来るまでも大分長い間海の中でバシャバシャ遊んでいたので、結局3時間余りパイナガマの海の中にいたのだろう。

遊び好きな俺達でも、普通なら海の中で遊ぶなら1時間程度、長くて2時間ぐらいだったのが、その日は3時間余りも海の中で遊び、本当にヤレヤレと帰った2人は、思い出の中では美しい娘だったのだが、もう顔も名前も思い出せない。



他のクラスでも小禄栄子や下地加代子は先生の娘で、可愛くて成績も優秀で、パンツはいつも純白で真っ白で、服装も可愛く全部人より優れていたのでスグに覚え、今でも心の中の親友だ。

ま、思い出すのは真っ白いパンツだけど、3年生、4年生頃になるとスカートの丈が少し長くなって、真っ白いパンツが見えなくなったのはちょっと残念だった。

3年生の時の副級長、正岡明美は言わば俺の初恋の人だが、同じクラスになったのは小学3年生の1年間だけで、4年に上がる前に那覇市に転校してしまい、確かお父さんが琉球銀行の支店長だったと思う。

それ以来今日まで一度も会った事は無い。



次に記憶に強く残っているのは5年生の時の副級長、山田みさ子で、おしゃまなおキャンな子で、背のスラッとした子で、正岡明美の次に恋した子だったが6年生になったら転校してしまい、あの子も琉球銀行の支店長の娘だったんじゃないかな。

花城栄長は俺の一の子分だったが、人気のある山田みさ子と平良鉄彦と、すれ違いざまに後から押し付けてくっつけた時には、流石に相手が俺でないのが悔しくて残念で、この馬鹿野郎めと花城栄長を殴りたいぐらいに頭に来たもんだ。



こうして俺は、ずっと1年から6年の1学期まで級長だったが、小学入学以来勉強はやめたので、教科書もノートも真っ白まっさらで、毎日みんなを眺め、外の景色を眺め、兎に角授業時間中、休み時間の遊びを考え、放課後の遊びを考え、正岡明美や、山田みさ子や、下地加代子や、小禄栄子の事を考え、もうパイナガマに行くのが待ち遠しくて待ち遠しくてたまらない小学生時代を過ごしたわけだ。

小学1年生では、桜井ひろ子先生と喧嘩して登校拒否し、2年生では余り大した思い出もなく、3年生から平良鉄彦、真栄城忠之との思い出がいっぱい出来て、その他に保栄茂宏海、与那覇健一、喜納克己、花城栄長、三田正吉、下地敏彦、清輝、栄、正岡明美、山田みさ子、小禄栄子、下地加代子、上里隆盛と、もう沢山の人との思い出がうなぎ昇りに増えていったわけだ。



粟国良治、テローが最後に、漲水の港で大漁旗を振り回して、何十名のみんなとの別れで五色のテープが無数に海に散って流れ、やがて漲水の港も遠くかすみ、佐良浜も池間島も見えなくなって、沖縄コザ市へと転校したのだった。



2022年5月12日



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中山誠の思い出 memories
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